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今回はプレジデントファミリー2023夏号を参考に
未来の授業【第2回】ユーグレナ出雲充×本郷社会部
「459回トライすれば1%の成功率が99%に!」
の記事を取り上げます。
各界のトップリーダーが未来ある学生たちに渾身の授業を展開する人気企画です。
未来の授業【第1回】の記事はこちら。
今回はどのような話が聞けるのでしょうか。
掘り下げてみていきます。
今回の参考書籍
今回の参考書籍はこちら。
私はプレジデントファミリーを定期購読しています。
とても学びになるので是非ご購入いただき、読んでみてくださいね。
ユーグレナ社長出雲充氏とは?
今回の「先生」である株式会社ユーグレナ代表取締役社長出雲充氏の経歴はこちら。

出典:株式会社ユーグレナ|ユーグレナ役員紹介 (euglena.jp)
非常に多くのメディアに出演しており、また多くの賞を受賞しているので1度はご覧になっているかもしれません。
とても有名な方ですね。
いつも着けているミドリムシをイメージしているであろう、緑色のネクタイが印象的です。
ちなみに出雲氏が社長を務める株式会社ユーグレナについてはこちら。

出典:株式会社ユーグレナについて | 株式会社ユーグレナ – ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の研究開発・製造・販売 (archive.org)
ユーグレナとはミドリムシのこと。
ミドリムシを研究し、機能性食品に昇華させるなどの食品利用、また二酸化炭素の排出削減、バイオ燃料化など現代社会が抱える多くの課題のソリューションとして期待されている会社です。
本郷中学校・高等学校とは?
今回の「生徒」である本郷中学校・高等学校の詳細はこちら。

出典:本郷について | 本郷中学校・高等学校 (hongo.ed.jp)
1923年(大正12年)開校。今年2023年(令和5年)でちょうど100周年ですね。
建学の精神に「国家有為の人材を育成」というところが時代を感じます。
東京大学ほか有力大学へ人材を輩出している名門校でもあります。
出雲氏の生い立ち
出雲社長はいかにして夢を持ち、それを実現させていったのでしょうか。
記事を一部引用しながら探っていきます。
はじめに皆さんに、1枚の写真をお見せします。東京郊外の団地の写真です。この建物の301号室。私はそこで育ちました。
父はシステムエンジニアとして働くサラリーマン。母はいわゆる専業主婦。兄弟は私の下に弟が1人。裕福ではありませんでしたが、かといって貧しいというほどでもない。当時の日本のあちこちで見かける、普通の典型的な4人家族でした。
私は、小さいときから微細藻類のユーグレナ(ミドリムシ)が大好きだったわけではありません。ごく普通の男の子でした。ただ、海外に行ったことがなく、だから「大学に入学したら、どこでもいいから海外に行く」という思いは強く持っていました。ちょうど皆さんと同じくらいのときの私の夢です。無事大学に入学し、1年生の夏、初めて訪れた国が、バングラデシュです。
出典:プレジデントファミリー2023夏 p.91
導入部分は「ごく普通の、典型的な家庭に生まれた男の子」の話から始まります。
非常に親近感が湧きますね。
ここでは全く触れませんが、出雲氏は駒場東邦中高卒業後、東京大学に入学しています。
この時点で既に立派なエリートですが、そこはストーリー上認めないのでしょう。
このあとに続くユーグレナとの出合いとのコントラストをより際立たせたいため、あえて「普通」を装っているのでしょう。
東京大学在学時、初めての海外はバングラデシュです。
ハワイやグアムではないです。
バングラデシュです。
大学1年生の夏に行くのは学生旅行で、南の島で友だちとワイワイするのが決まりでしょ、と思いますが違います。
明らかな意図を感じます。
続けてみていきましょう。
バングラデシュ訪問と夢のきっかけ
バングラデシュに私が行ったのは、グラミン銀行を自分の目で見たかったからです。
グラミンとは、現地の言葉で「農家」のこと。グラミン銀行は、農家のための銀行なんです。グラミン銀行は二つ、偉大な仕事をしていました。
一つは、教育を受けられなかったために自分の名前すら満足に読み書きできない人々に対して、たった1枚の契約書だけで、無担保で彼らの年収に近い金額の3万円を融資していたことです。
もう一つは、お金を貸して終わりではなく、お金の使い方を指導したこと。たとえば3万円を融資したら「帰りに必ずヤギを買って帰りなさい」と指導します。農作業の合間にヤギの世話をし、乳を搾れば、市場で売れます。それまで1日の収入が100円だった人が、3万円を借りてヤギを買い、その乳を市場で売ることで、1日の収入が500円、つまり5倍になったそうです。年収も5倍。1年後にはみんな、約束通り、借りた3万円を返しにきます。グラミン銀行はそのお金を、また別の人に融資することができます。
グラミン銀行が最初の年にお金を貸すことができたのは、たった42人、27$だったそうです。それが今では930万人に4.4兆円を融資しています。世界中の900万人以上もの人を、グラミン銀行は救ってきた。「売り手よし、書いてよし、世間よし」の「三方よし」の素晴らしい奇跡が、この最貧国で実現していることに私は驚きました。設立者のムハマド・ユヌス博士とグラミン銀行は、2006年にノーベル平和賞を受賞しました。
グラミン銀行を設立したとき、ユヌス先生はみんなに笑われたそうです。たった3万円を貸して、いったいいくら儲かるんだ。しかも、貧しい農家に貸すなんて、きっとそのお金は返ってこないに違いない―と。
でも、ユヌス先生はまったく違う未来を描き、その実現のために取り組んでいたんです。そして、多くの人を救いました。
私は感動しました。日本に帰ったら私も、こういう仕事をしようと心に決めたのです。
出典:プレジデントファミリー2023夏 p.91
バングラデシュを訪問したのはグラミン銀行を自分の目で見るため。
現地に赴き、思い描いていたものと自分の目の前の景色が合致した。
それが夢のきっかけとなったのですね。
そしてこのバングラデシュへの訪問で今後を決定づける状況を目の当たりにします。
(バングラデシュに住む)彼らにとっての困難は「ひもじさ」ではなく、「栄養不足」なのです。
そのことを知った私は日本に帰ると、どうしたら貧しい人々の栄養問題を解決できるのかを調べ、いろいろな人に聞いて回りました。そこで出合ったのが、微細藻類のユーグレナです。私が大学3年、20歳のときです。
出典:プレジデントファミリー2023夏 p.92
ここで初めて社名にもなっている「ユーグレナ」が登場します。
大学1年生、18歳の夏。ノーベル平和賞を受賞したユヌス先生が創立したグラミン銀行を見たいと思い訪問したバングラデシュで直面した国民の栄養不足。
課題意識を持った青年はユヌス先生のように当座の食糧支援等ではなく根本解決をしようとたどり着いたのがユーグレナ研究でした。このとき大学3年生、20歳。
ここからユーグレナ研究の難しさに直面します。
ユーグレナ研究の苦闘
59種類もの栄養素をもったユーグレナは、人間にとって素晴らしい食料源ですが、それは同時に、人間以外の生物にとっても素晴らしい食料であることを意味します。ユーグレナを大量培養するにはどうしても屋外で育てる必要がありますが、そこに紛れ込んだ生き物(その中には目に見えない菌類、細菌類も含まれます)によって、あっという間に食べつくされてしまうのです。
でも、20歳の私は、「一生の仕事」として覚悟して取り組めば、何とかなるんじゃないか、と考えました。そして、実験を始めました。
出典:プレジデントファミリー2023夏 p.92
通常の実験室や、半導体などの製造工場は「クリーンルーム」という場所で実験・製造を行います。空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物を限定し空気を一定の水準に保つためです。
しかし「ユーグレナを大量培養するにはどうしても屋外で育てる必要がある」というようにクリーンルームが使えない状況でどうするか、ということですね。この困難さは理系の皆さまは理解できるのではないでしょうか。
それに対し、出雲氏は「一生の仕事として覚悟して取り組めば、何とかなるんじゃないか、と考えました」と言っています。
さらっと言っていますが、「夢を持つ力強さ」を感じます。
叶えたい夢があるから「そんな困難当たり前でしょ。だからバングラデシュの人たちの栄養不足が解決していないんでしょ。これが解決出来たらバングラデシュだけではなくて世界中の人々の栄養不足が解決できる」という決意がそこに込められていると感じました。
困難を乗り越えて成功!諦めなかった理由
2005年12月16日。様々な困難を乗り越え、ついにユーグレナの食用屋外大量培養に成功します。
ここからのストーリーは皆さまご承知の通りなので割愛しますが、やはり知りたいのは「諦めずに夢を実現出来た理由」ですよね。
そこに子育てのヒントがありそうです。
その理由はこちら。
なぜ、私が途中で諦めずに、ユーグレナの大量培養を成功させることができたのか。大切なのは「メンター」と「アンカー」だったと考えています。
メンターとは心の底から尊敬している先生、先輩、師匠のことです。人はメンターに出会うことによって、夢をもつことができます。私にとってのメンターは、間違いなくムハマド・ユヌス先生。周囲に笑われながらも、貧しい人々を救いたいという夢をもち続けているユヌス先生は、私の進むべき道を示してくれています。
アンカーとは、その夢を忘れないための具体物。ちょっとした記念品でも手紙でも何でもいい。その具体物を見ることで、自分が当時描いた夢や決意を思い出させてくれるものです。私にとっては、大学1年生のときにバングラデシュで買ったTシャツが大切なアンカーです。今でも自宅のクローゼットに置いています。実験がうまくいかないときも、このTシャツを見ると「ユヌス先生と約束したじゃないか、必ずやり遂げると。まだまだ諦めるわけにはいかない」という気持ちが湧いてきました。
今日、ここにいる皆さんも、これから様々な夢をもち、その実現に向かっていくと思います。そのときにはぜひ、メンターとアンカーを大切にしてください。メンターとアンカーが、あなたの夢の実現を、必ず後押ししてくれます。
出典:プレジデントファミリー2023夏 p.92-93
諦めずに夢を実現できたのは、メンターとアンカーがあったから。
そう出雲氏は教えてくれました。
メンターに出会うことで夢をもち、その夢を忘れないためにアンカーをもつ。
メンターとアンカーの間に夢があれば、その夢が叶う確率は高くなりそうです。
しかしそうは言っても弱音を吐いたり、「ダメなんじゃないか」と諦めたくなったりしますよね。
そのときにはどうしたら良いのでしょうか。
ここから本件のタイトルになっているあの言葉が生まれます。
ここからが本番です。
459回トライせよ、そして言い訳しない
世の中には、「不可能だ」といわれていたことを突破し、奇跡を起こし、イノベーションを成し遂げた人々がたくさんいます。その人々はどうしてそれができたのでしょうか。
結論から先にいえば、成功するまで諦めずに繰り返し挑んだから。そして、なかなか成功しないことに対して言い訳しなかったからです。(中略)
たとえば、「成功率1%」というのは、1回チャレンジしたときの確率で、99%は失敗します。ところが2回目は、0.99×0.99=0.98となり、成功率は2%になります。これを繰り返していくと、100回目で成功率は64%、459回目には99%になります。(中略)
とにかく繰り返し努力すること。「試行回数×科学技術=イノベーション」なんです。ところがほとんどの人はそこに至る前に諦めてしまう。だから成功にたどりつかないのです。
この話を皆さんにすると、「それは、天野先生や出雲さんだからできたことでしょ」「最先端の研究設備で実験したからできたんですよ」という人がいます。でも私は、団地の、ごくごく平凡な家に生まれた普通の子でした。天野先生も、「私が研究を行っていた名古屋大学は、特別に研究環境に恵まれているわけではありませんでした」とおっしゃっています。(中略)
「うちの子にはとても無理です」という親の言葉が私は嫌いです。身近で、最も応援するべき親が、自分の子供の可能性を否定してしまってどうするんですか。
みんな、同じ人間です。37兆個の細胞があって、その全部に23セット46本の染色体がある。その設計図は99.9%の6乗まで同じです。私にできて君にできないことを、論理的に証明することは不可能なんです。
そして最後に。「1番になること」にこだわってください。日本で一番高い山が富士山であることは誰もが知っています。でも、2番目に高い山が北岳であることを知っている人は富士山ほどいません。1番と2番では、知名度に圧倒的な差があります。知名度が上がれば上がるほど、応援してくれる人が増えるのです。
適切な科学と努力の繰り返し。この二つの掛け算で、誰もが「富士山」としての人生を送る可能性を秘めています。
出典:プレジデントファミリー2023夏 p.93
メンターに出会い、夢を持ち、アンカーを大切にする。
そしてその夢を諦めない。言い訳しない。絶対に1番になるとこだわる。
そうすることによって夢が実現できる、ということですね。
団地の1室から始まったストーリーは見事に伏線を回収し、熱い思いとともに本郷中高生に届けられたのでした。
このあとは出雲氏と本郷中高生の質疑応答が記載されています。
「どうしたら大きな夢をもてますか?」
「バイオ燃料が事業の主軸になるのですか?」
「銀行に就職した理由は何ですか?」
などさすが本郷中高生、良く調べている!そこを突っ込むか!?というような質問に対して出雲氏が真摯に回答しています。
この続きは是非本誌をご購入いただき読んでみてくださいね。
あえて株式会社ユーグレナ事業に触れる(期待を込めて)
ここまでご覧いただき「株式会社ユーグレナ、すごい!出雲社長、すごい!」と思ったことでしょう。
すごいですよ。世界初のユーグレナの食用屋外大量培養を発明したんですから。
これで世界中の栄養不足が解決される!世界を救った株式会社ユーグレナってどれだけ儲かっているの?と疑問が湧いたことでしょう。
ではまず株価に触れます。

出典:SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA (sbisec.co.jp)
2012年12月に株式公開。
やはり皆さんが思うように、「この会社は伸びる!」と多くのマーケット関係者が思い株価は急騰しました。
しかしそれは長く続かず、2020年3月には498円と上場来最安値をつけ、執筆時点現在900円前後で推移しております。
あれ?と思いますよね。
世界初の発明、そして人類を救う会社ですよ?
では、次にこの株価の原因となっている業績をみていきましょう。

出典:SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA (sbisec.co.jp)
数字が並んでいて見づらいかもしれませんが、営業利益・経常利益・純利益を見てみてください。
全てマイナス(-)が付いているのがおわかりいただけると思います。
すごくシンプルに言えば、当社の事業は赤字です。
事業の期待感から一時株価は急騰しましたが、時を経ることによって赤字体質から抜け出せないことがわかり、株価は低位で推移しているということになります。
売上は確実に上がっているので、それなりの評価は得ているものと考えられますが利益が上がらない。多額の販管費がかかるバイオベンチャーならではの苦悩が見えます。
ではどうするか。
当社はミドリムシ企業からサステナビリティ企業へと転換することを選択しました。

出典:2022年度通期決算説明および今後の事業展望 (eir-parts.net)
具体的な事業展開は次の通りです。

出典:2022年度通期決算説明および今後の事業展望 (eir-parts.net)
ヘルスケア事業を軸に稼いでいく業態となっています。
パーパスには「人と地球を健康にする」とありますので、当初の軸とは大きくブレてはいません。
しかしバングラデシュで栄養不足を解消したいとユーグレナを研究した成り立ちと、
現在の健康食品・化粧品を主力としたヘルスケア事業とのギャップにモヤっとする方もいるでしょう。
これが事業化の難しさ、逆に言えば面白さでもあります。
ちなみに世界の栄養不足を救う食料として真っ先に思い浮かぶのは何でしょうか?
私はコオロギを思い浮かべました。
そうすると、株式会社ユーグレナの起業当初の対戦相手はコオロギです。
ユーグレナVSコオロギ。
コオロギはやはり選ばれるだけのある多くのメリットを持っています。

出典:コオロギが優れた食材であるこれだけの理由 日本で本格化する昆虫食(2) | 未来コトハジメ (nikkeibp.co.jp)
ここに書いてあるのが全てだと思います。
いかにコオロギが食べ物として優れているかがわかります。
生まれ、育ち、食べられ、ロスが少ない。
すべてに環境負荷が少なく、栄養価が高い。
特殊な培養方法が必要なユーグレナと、(語弊があるかもしれませんが)その辺にいるコオロギ。
どちらがサステナブル(持続可能)でしょうか。
答えは明確ですね。
しかし株式会社ユーグレナも負けてはいません。

出典:微細藻類オーランチオキトリウムを給餌することで、食用コオロギに含まれる ドコサヘキサエン酸(DHA)の含有量増加を確認しました | 株式会社ユーグレナ (euglena.jp)
コオロギに微細藻類を給餌することでDHAの含有量が増えた、との研究成果を発表しました。
世界の栄養不足を救うのはユーグレナではなくコオロギだとしても、そこに不足している栄養素を足し上げることで収益を上げようとしています。
どんなに優れたものでも、そこに汎用性がなければ事業化出来ません。
事業化出来なかったら収益が上がりません。
収益が上がらなかったらご飯を食べていくことが出来ません。
それは持続可能なことではありません。
赤字体質の当社はまだまだ課題が多いです。
夢を諦めない、出雲社長の挑戦はまだまだ続くものと考えます。
私は同じ日本人としてその挑戦を応援したいと思います。
※私は当社の株式を保有しておりません。案件でもありません。一応申し添えておきます。
今回のまとめ
一般的に夢をもつ大切さは、ずっと言われ続けています。
ではその夢を叶えるためにはどうしたら良いのか。
株式会社ユーグレナの出雲社長の授業からわかったことは、
・メンターとアンカーを大切にする。
・諦めず、言い訳をせず、繰り返し努力すること。459回目には成功率99%!
・1番になることにこだわる。
これが夢を叶えるのに必要なこと。
子どもだけではなく、私たち親世代にも必要なことですね。
大変勉強になりました。
ここまでご覧いただきありがとうございました!
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